インターネット通販を活用して場外市場のブランド向上を目指す
株式会社丸市岡田商店
北海道
取組2
インターネット販売事業者と連携した取組

観光土産店舗の売り上げゼロを救ったインターネット通販
株式会社丸市岡田商店は、札幌中央卸売市場に隣接する場外市場の一角に構える総合土産店「きたいちば」で観光土産品を販売。北海道みやげの定番である銘菓から海産物まで幅広い商品を取り揃えており、平時は国内・海外からの観光客で賑わっていました。
しかし新型コロナウイルス感染拡大を背景に、店舗での売上がみるみる減少し、1日の売り上げが0円という日が長く続くという未曾有の事態に。
そんな同社を支えたのが、2018年頃から少しずつ始めていた、楽天市場やAmazonといった大手インターネットモールへの出店や、自社通販サイト「北海道お土産ギフト岡田商店」の運営でした。店舗とは対照的に、コロナ禍に入ってからECでの売上が顕著な伸びを見せていました。
そこで、同社はEC事業をさらに加速させると同時に、コロナ禍で苦しむ生産者、卸業者も含めてみんなで北海道を盛り上げるべく、ECを活用した販路拡大を計画し、本事業に参加しました。
北海道の海産物や乳製品を送料無料で提供し、大きな成果を残す
今回の取り組みでは、各インターネットモールにおいてキャンペーン特設ページを設け、北海道の海産物や乳製品をお手頃価格、かつ送料無料で提供しました。
商品の選定に際しては、各所にヒアリングをして回ったそうです。海産物については中央卸売市場の複数の問屋に相談。特に在庫が滞ってしまっている品目や当面見通しが立たない品目などを把握し、その中から消費者にとっても分かりやすいタラバ蟹やイクラ、ほっけなどをセレクトしました。一方、北海道庁からは、コロナ禍で北海道産の牛乳の需要が大幅に減り、保存がきくバターや脱脂粉乳の製造を増やさざるをえない状況などを聞いたことから、当初は予定していなかったチーズやバター、プリンといった乳製品もラインナップに加えました。
2021年8〜9月に実施した本キャンペーンでは想定以上の反響があり、単月の売上を大きく伸ばすことができました。リピーターのお客様にも満足してもらえるよう、新しい品目や詰め合わせ商品を展開したことが功を奏したようです。

近隣店舗と一丸となってECで場外市場を盛り上げていきたい
期待以上の成果を残せた一方で、“送料無料”というインセンティブ頼りになってしまっているという課題も浮き彫りになりました。
送料無料ではなくてもお客様に継続的に購入していただけることが理想であり、そのために、例えば地域の数店舗合同でキャンペーンを実施し、取り扱い品目を増やしたり、詰め合わせのバリエーションを増やすなどの工夫をすることで商品自体の価値を高めることに今後取り組んでいきたいと展望を語ります。
場外市場に店を構える近隣の土産物店などでは、丸市岡田商店のように通信販売に取り組んでいる例は少なく、ECのノウハウももちろんありません。同社もEC運営は試行錯誤の真っ只中とのことですが、そうした近隣店舗たちを巻き込む形で同社がEC展開を牽引することで場外市場全体のブランドを高め、経済再開時により多くの観光客を誘致することを目指しています。
