場外市場の海鮮丼などをタクシーで配達し地元での販路を新規開拓

株式会社北のグルメ

北海道

取組3

交通機関等との連携によるテイクアウト・デリバリー等の販路の確立

大繁盛から一転、来店客も売り上げも10分の1以下に

創業70年を超える株式会社北のグルメは、札幌市中央卸売市場が誕生した時からこの地に店舗を構え、場外市場を代表する存在として、北海道産を中心とするこだわりの海の幸やプライベートブランド商品などを販売する「海鮮市場 北のグルメ」や、海鮮丼などを提供する食堂「海鮮食堂 北のグルメ亭」を営んでいます。

主に観光客をターゲットとしている同社では、かつては国内外から年間数十万人の来店があり、店内は歩く場所がないほど活況の毎日でした。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響により、来店客の数は10分の1以下に激減し、物販でも食堂でも売り上げがほとんどないという創業以来の事態に直面。事業存続のために補助金制度などを調べている中で本事業を知り、地元市民を対象としたデリバリー&テイクアウトという初めての取り組みで販路拡大を目指すことにしました。

食堂の人気海鮮丼などをタクシーでデリバリー。ホテル宿泊客への配達も

今回の試みは、食堂で提供している海鮮丼や毛ガニなどの人気メニューを、店舗から約3キロ圏内にタクシーで配達したりテイクアウト形式で提供するというもの。

大手デリバリー業者ではなくタクシーを活用したのは、観光客の減少で同じく大きな打撃を受けている地元のタクシー会社に少しでも売り上げをもたらしたいとの想いからでした。海鮮丼などは鮮度が命であり、自転車などよりもタクシーのほうが早く届けられるというメリットもありました。

新聞の折り込み広告やリスティング広告などを活用して本取り組みを周辺地域に周知したほか、普段から送客などで連携している地元ホテルでもチラシを配布し、宿泊客がホテルの部屋で場外市場の美味しい海鮮丼を食べられるようにするなどの工夫も行いました。

デリバリーとテイクアウトの注文は合わせて150件以上にのぼり、事業が終了した今でも当時のチラシを持っているお客様から時々注文が入るそうです。

地元市民にも愛される店舗づくりを目指して

コロナ禍前は毎日が大盛況で、売り上げの比率が観光客9:地元市民1だったこともあり、地元に目を向ける余裕がほとんどなかったという同社ですが、今回の取り組みを通して地元のお客様の大切さを痛感し、今後は観光客だけでなく地元市民にも愛される存在になっていきたいと語ります。

デリバリー事業は道路上の雪がなくなりタクシーでの配達が問題ない状況になったら再開する意向です。またその他の新たなチャレンジとして、「大豊漁祭」という名の特売セールを定期的に開催。折り込み広告などを使って周辺地域から集客しており、昨年大晦日にはコロナ禍前のような賑わいを見せたそうです。

また以前から運営しているECサイトにも改めて注力し、これまで積み上げてきた店舗での過去顧客を掘り起こすことでECでの売り上げも伸ばしていきたいとのことです。

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