ベビーホタテを消費者に直接届けられる通販で食卓での需要を喚起
成邦商事株式会社
青森県
取組5
創意工夫による多様な販路の確立

外食産業向けの陸奥湾産ベビーホタテの在庫が大量に滞留
青森県は北海道に次ぐホタテの生産量を誇り、県の方針もあり、陸奥湾では生後1年程度の小ぶりなホタテ(半成貝)を収穫し、ボイルして冷凍した「ベビーホタテ」として全国に出荷しています。
成邦商事株式会社は創業以来約50年、一貫して陸奥湾産ホタテの加工・販売を生業としており、かつては欧米やアジア向けに刺身用の大型のホタテ貝を多く輸出していました。しかし東日本大震災時に海外輸出が止まったことから、国内市場向けにベビーホタテを加工販売する事業へと転換してきました。
同社のベビーホタテの多くは食品商社を通して外食産業や量販店、コンビニチェーンなどに卸され、食材の一つとしてパスタや炊き込みご飯、お弁当などに使われていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で特に外食産業向けの大粒のベビーホタテの販売が大きく減少し、在庫が滞留する事態に。
そこで、直接消費者に商品を届け、同社のベビーホタテをPRする機会を創出すべく、商社による仲介を得て、30万以上のユーザーを抱える食品通販サイト「豊洲市場ドットコム」への商品掲載を開始しました。
大手コンビニチェーンも認める、徹底的に品質管理された美味しいベビーホタテ
ホタテ一筋で事業を続けてきた成邦商事では、精度の高いデュアルX線異物検出装置を使用して貝殻の破片の混入を徹底的に防ぐとともに、絶妙な蒸し加減により生っぽさを残した加工で商品の差別化を図っています。また、加工からパッキングまでの全工程を自社工場で完結できるため、薬品などを使わずに温度管理だけで細菌をコントロールしており、安全かつ衛生的であることも特徴のひとつです。
こうした強みから大手コンビニチェーンからも指名が入るほど質の高い同社のベビーホタテは、通販を通して購入した一般のお客様からも大変好評で、毎日順調に販売され、加熱しすぎて硬く締まり旨味も抜けてしまっているイメージが強い従来のベビーホタテの概念が大きく変わった、といった声も聞かれたそうです。

お客様の声をヒントに二次加工品も開発し、新たな販路開拓を目指す
今回の取り組みの中で、ベビーホタテを使った唐揚げのような二次加工品も欲しいという声もあったことなどから、新商品の開発を進めている同社。こうした二次加工品があれば、食品商社を通さずに直接、量販店や外食産業などに営業・販売できるようになります。販路が大きく広がるだけでなく在庫調整もしやすくなることから、インバウンド需要が回復した際のビジネスチャンスに対応しやすくなると期待を語ります。
また、既存の自社ECサイトへの流入を増やすために、同社のホームページ立ち上げの準備も進められています。新しいホームページでは、豊洲市場ドットコムでの商品紹介方法などを参考に、同社のこだわりや安全性などをしっかりアピールしていきたいということです。
