北海道産の韃靼蕎麦に外食産業における売上回復の活路を見出す
株式会社サガミフード
愛知県
取組5
創意工夫による多様な販路の確立

新型コロナウイルスの影響で売上が最大7割減少
株式会社サガミフードは、関西圏を中心に複数の和食レストランチェーンを展開するサガミグループの一員として、各種食材の調達のほか、麺類やタレ、ソースなどの製造販売を担っています。
その主要取引先のひとつが、東海地区最大の和食麺類レストランチェーンである「和食麺処サガミ(運営:サガミレストランツ株式会社)」。和食麺処サガミでは各店舗に石臼を置き、店内で挽いた蕎麦粉などを使って製麺した蕎麦をお客様に提供しており、サガミフードは年間を通して玄蕎麦(殻付きのそばの実)や蕎麦粉を納入しています。
しかし、外食産業における新型コロナウイルス感染拡大の影響は甚大で、2020年は売上が昨年比約30%まで落ち込んだ月もありました。2021年には回復の兆しが見られつつも、2019年比で8割程度にとどまっています。
そうした状況を少しでも改善し集客を強化するために同社が着目したのが、国内産の蕎麦でした。
北海道産の玄蕎麦と韃靼蕎麦を使用したメニューを限定価格で提供
以前は、安値で品質も安定している中国産の玄蕎麦を輸入していましたが、コロナ禍で輸入自体が難しくなったこともあり、日本一の収穫量で安定供給が見込める北海道産の蕎麦への切り替えを決断。通常の玄蕎麦に加え、品質改良により苦味が軽減されて食べやすくなった韃靼蕎麦の蕎麦粉を仕入れ、本事業を活用して和食麺処サガミでキャンペーンを展開し北海道産蕎麦メニューの周知を図ることにしました。
韃靼蕎麦には毛細血管の強化や動脈硬化や脳卒中の予防効果があるとされるルチンが豊富に含まれている一方で、“苦蕎麦”という通称があるほど苦味が強いことから普及してきませんでしたが、和食麺処サガミでは、今回のキャンペーンにおいて通常の蕎麦と苦味が少ない韃靼蕎麦を食べ比べできるメニューを特別価格で提供し、その美味しさを知ってもらう工夫をしました。
同時期に開催していた北海道フェアとの相乗効果もあり販売は順調に推移。お客様からも「香りが高く美味しかった」といった声があったことから、同社では今後、健康面での価値をよりアピールしながら韃靼蕎麦粉を看板商品として育てていきたいと意気込みます。

海外産から国内産にシフトして付加価値の向上を目指す
従来は輸入が中心でしたが、今回の取り組みを通して国内産の食材や原料の可能性に気づけたと語る同社。蕎麦だけを見ても、国内には北海道だけでなく様々な産地や品種があり、仕入先を開拓することで新たな商品開発や付加価値の創出が可能になります。また北海道の農協からは、蕎麦だけでなく様々な海産物や農作物を紹介してもらえるようになり、視野が広がったそうです。
国産の食材は、輸入ものに比べると価格が高めになりがちですが、安心安全や美味しさという付加価値に転換することで客単価の向上を図ることができます。また国産に切り替えることでフードマイレージを減らし、環境負荷を抑えることにもつながるため、サガミフードでは今後、主力商品を中心に国内産の食材や原材料の仕入れを強化していきたいとのことです。
