天然の「能登ふぐ」の地元での消費拡大を目指し学校給食で提供
能登ふぐ事業協同組合
石川県
取組6
学校給食への食材提供

日本トップクラスの漁獲量を誇る「能登ふぐ」で地域を盛り上げたい!
石川県は、山口県や北海道とともにトップ3を競い合うほど天然ふぐの漁獲量が多く、また「とらふぐ」「まふぐ」「ごまふぐ」「しょうさいふぐ」「ひがんふぐ」「銀ふぐ」など種類が豊富なことも特徴です。
能登半島にある七尾市を拠点に活動する能登ふぐ事業協同組合は、能登で漁獲された天然ふぐを「能登ふぐ」としてブランド化し、冬のカニ・ブリに続く、食の看板メニューとなるよう地元での消費を拡大し、地域活性に貢献することを目的に2012年に設立された民間の組合です。漁業者・水産加工業者・飲食店・宿泊施設など「能登ふぐ」の流通に関わる事業者だけでなく、地元の印刷会社や観光会社など、様々な協力企業が参画して運営されています。
新型コロナウイルス感染拡大以前は、県内外のイベントなどに参加して能登や「能登ふぐ」のPRを積極的に展開し、観光客の誘致にも貢献してきました。
しかしその一方で、能登で水揚げされたふぐの多くは、そのまま大阪や下関に出荷されるという特殊な事情や、能登には他にも魅力的な水産物が多くあることから、日本トップクラスのふぐの産地であることが能登の人たちにあまり知られておらず、地元での消費が伸び悩んでいました。そこに追い打ちをかけるように、コロナ禍で飲食店でのふぐの消費が減少し、流通量が減ることによる価格の下落という事態に直面しました。
学校給食で「能登ふぐ」メニューを提供し、食育やレシピ配布も
地元で「能登ふぐ」の存在を改めてアピールし、コロナ禍で落ち込んだ消費の回復につなげるため、同組合は本事業を活用し、七尾市と、隣接する中能登町のすべての小・中学校の給食に「能登ふぐ」の提供を行いました。
以前にも、組合が費用を負担する形で、規模が小さい小学校の給食で「能登ふぐ」を提供したことがあったそうですが、今回は事業を活用することで全学校を対象に大規模に展開することができました。
栄養士さんたちと連携し、唐揚げや塩麹唐揚げ、ケチャップあんかけなどのメニューで生徒たちに提供され、同時に、「能登ふぐ」や能登の水産業に関する食育も行われました。
加えて、ふぐのレシピ集を作成して生徒たちに配布し、家庭でも「能登ふぐ」への関心を高める工夫をしました。地元のスーパーに、ふぐの取り扱いについて親御さんから問い合わせが入ったケースもあったそうです。

オリジナルメニュー開発や通販でも「能登ふぐ」をPR
子どもたちに「能登ふぐ」に関心を持ってもらうことで、長期的に地域での消費を底上げしていきたいと考える同組合ですが、学校給食への大規模な提供には元手が必要となるため、頻繁に行うことは難しいのが現実です。
そのため、組合員同士で新商品を開発したり、地域の飲食店に「能登ふぐ」を使ったオリジナルメニューを開発してもらったり、通信販売を強化したりと、コロナ禍に負けずに様々なことにチャレンジしています。
また、白子たっぷりの「能登ふぐ」がたくさん水揚げされる4〜5月に向けて、ふぐの食べ回りフェアなども企画されているそうです。
地域一丸となって「能登ふぐ」を盛り上げる活動はこれからも続いていきます。
