子ども食堂へのお米の提供を通して日本の米食文化や生産者を守る
株式会社ミエライス
三重県
取組7
子ども食堂等への食材提供

コロナ禍でコメの消費が大幅に減少し、取引価格も下落
西日本でも有数の米どころである三重県で米の製造販売業を営む株式会社ミエライス。三重県産コシヒカリを中心に、顧客の要望に応じて他県の優良産地からもお米を仕入れ、関西圏のスーパーや量販点、街のお米屋さん、飲食店、ホテル、病院などに向けて精米・販売しています。
お米を主食とする日本人にとって米は“生きる源”と考える同社では、お米を中心とする日本の食文化を守るべく、お米の料理教室や工場見学、イベントの開催など、お米の魅力を再認識してもらう活動にも積極的に取り組んできました。
しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響でお米の出荷量が大幅に落ち込んだことで過剰在庫となり、生産者からの買取価格も低下する事態に直面。このままでは生産者の生活を守ることができないだけでなく、新規就農者も減少し、日本の農業の衰退を招きかねません。
東海3県の子ども食堂にお米を寄付し、お米の魅力を伝える
同社では5年ほど前から三重県内の津地区や伊勢地区の子ども食堂への支援を毎月行ってきこともあり、今回は本事業への参加に際し、食品ロスゼロを目指す「フードバンク愛知」の協力も得て三重・愛知・岐阜の3県にある160の子ども食堂に対してお米の提供を行うことにしました。
1人あたり3kgというお米の配布は夏休み前を中心に実施されました。これは、コロナ禍で生活が困窮する家庭の子どもたちにとっては学校給食がライフラインとなっているため、学校給食が止まってしまう長期休校の前に提供できるのが望ましいという声があったからだそうです。また、お米の生産工程や栄養、歴史などが学べる「お米・ごはんBOOK」もお米と一緒に配布することで、お米に対して興味を持ってもらう工夫もしました。
本事業を通して最終的に30t以上のお米が出荷され、子どもたちや食堂運営者から様々な喜びの声が届き、生産者の応援にもつながったと手応えを語る同社ですが、従来のような同社単独での取り組みではできることに限りがあるため、今回のようにNPO団体や他企業とともにチームとして継続的に取り組んでいく必要性を強く感じたそうです。

消費減が続くお米の価値を高め、需要の回復に向けて
コロナ禍以前より、日本では食生活の変化に伴いお米の消費の減少傾向が続いています。主食がお米からパンや麺にシフトし、さらには炭水化物抜きダイエットの流行などもお米離れを加速させています。またチャーハンやピラフといった調理済みの冷凍米飯の普及により、白米そのものの美味しさを知る機会も減っていると言います。
こうした状況を少しでも改善し、お米の需要を維持するため、同社では子ども食堂への支援の際に料理教室などを通してお米本来の美味しさを改めて認識してもらう活動を続けています。さらにはインターネット販売に取り組んだり、三重県の農業高校と協力して商品開発を行うなどしてお米の魅力を広く発信し、消費の回復を目指しています。
